偉大なる物語の多くがそうであるように、我々の物語は、アイデアをひらめいた一人の男から始まった。
1987年、デンマークのIKEAが初期の成功をおさめていた時期に、その経営者であったKen Muff Lassenは、いつの日か、数百万、数千万個売れる小さな「モノ」のアイデアを見つけることができると考え、自身の会社を設立した。それから2年以上かけて、アイデアを探し続けたが、ある日、偶然にとあるセラミック製ミルを手にした。当時、セラミック製のミルは珍しかった。
食通であったLassenの好奇心は大いに駆り立てられた。セラミック製ミルは、当時売られていた最高級の胡椒挽きと同等の性能をもつだけでなく、岩塩やスパイスも何の問題もなく挽くことができ、さらに、刃が摩耗せず、破損することもなかったからである。これは、他のミルにはできなかったことである。確信を得たLassenは、大胆な決意をした。市場で売られている最高に優れたミルをしのぐセラミック製ミルのメカニズムを開発する、と。
その後、Lassenは1年かけて製造技術を持つパートナーを探し、アイデアの具現化にまい進し、ついにCrushGrind®の開発に至った。デンマークのエンジニアリングを結集したセラミック製グラインダーは、現在では世界の多くの家庭用品トップブランドに幅広く採用されている。
素晴らしい製品の開発に成功し、情熱にあふれていたLassenにとって、次に必要だったのは販路だった。しかし、それは実際には簡単ではなかった。ライバルのセールス担当者たちは、日々、我こそより優れた製品をより低い価格で提供できると主張していたからである。
販売が思うように進まないまま4年が過ぎ、ミルのメーカーの関心の低さにフラストレーションを感じる時もあった。 Lassenは、土曜日にはコペンハーゲンの有名な専門店の前でデモンストレーションを行い、こう叫んでいた。「家に機能しないミルをお持ちの方はいらっしゃいませんか?」 すると、必ず手をあげる人がいた。Lassenはそうやって、自分は間違っていないと再認識することができた。
CrushGrind®の品質に大きな自信をもっていたLassenは、さらなる成功を求め、世界的に有名な家庭用品の高級ブランドに直接アプローチする決意をした。これが結果として飛躍のきっかけとなった。Tupperwareが、徹底的な試験を実施した結果、CrushGrind®を最もすぐれたグラインダーのメカニズムであると評価し、採用を決めたのだった。続いて有名ブランドのWMFに採用された。
この重要な転機によって、Lassenは、人員を増やしてチームを拡大し、グラインダーの改良に取り組み続ける一方で、新商品の開発を行えるようになった。CrushGrind®のメカニズムは、グラインダービジネスを変え、我々は世界中で5,000万個以上のミルにCrushGrind ® が使われていることを誇りに思っている。
現在は、Lassenの2代目が経営し、創業者のKenは退いている。しかし、彼は今でも頻繁に出社し、開発に参加している。そして、何年も前にKenを駆り立てた高品質の製品に対する情熱は、今日でも社員を駆り立てている。